Archive for the '未分類' Category

新型コロナ禍観察日記①

「新型コロナ」という言葉をはじめて聞いたのは2020年の年明け間もないころだったか、中国湖北省武漢で~という記事を新聞で見たのが最初だったと思う。それからしばらくして豪華クルーズ船の乗船客での集団感染が発覚し、横浜港に寄港したあたりから国内のテレビ、新聞、マスコミはその報道に多くの時間、紙面を割くようになったと記憶している。
 一部の専門家を除いては、まさかあのコロナがここまで世界を混乱に陥らせるとは予想していなかっただろうし、私自身も恥ずかしながらその一人だった。いま無知を反省すると同時に人類とウィルスとの生存をかけた戦いの歴史にただただ驚いているのである。
 テレビのニュース、情報番組では、毎日のように専門家らしい人たちが意見を述べるが、翌日にはまた別の専門家が別の意見を述べる。そのような意見交換会が各番組各時間ごとに繰り広げられ数日前の意見はあっという間にどこかに消し飛んでしまう。情報の受け取り側である専門外の私なぞは全く整理がつかないまま「コロナ禍」におののいている。そんな昨今、世界を覆っている「コロナ禍」をなるべく正しく理解しようとあれこれ目を通し自分なりに少し整理してみた。

まず、日本に新型コロナの患者さんがどれくらいいるのか考えてみる。
厚生労働省のHPによれば、2020年5月10日時点の日本の感染者は延べ15,747人。ここから退院または療養解除になった8,293人、死亡数613人を減ずれば、現段階で感染状態にあるのは6,841人。
しかし、専門家の中にも、実際にはこの10倍から20倍の患者がいてもおかしくないという意見もあるので多めに見積もって、仮に20倍とすると、日本には136,820人の感染状態の人がいるということになる。日本の人口は約1.265億人、924人に1人が感染状態にある可能性がある、ということだ。計算しやすくするために1,000人に1人が感染状態であると仮定。
つまり、日本における新型コロナの「有病率」は0.1%(と仮定する)。
PCR検査のみならず、一般に検査には精度の限界がある。
病気の人を正しく病気であると診断できる確率を「感度」、病気でない人を正しく病気でないと診断できる確率を「特異度」。
新型コロナのPCR検査の場合、感度は50~70%(ここでは70%で計算)、特異度は99%程度であると想定する。
では、わが町千葉県市川市で市民全員にPCR検査を実施したと仮定する。
市川市の人口は約49万人。有病率(0.1%)から計算すると、490人が感染者で、残る48万9,510人は感染者ではないことになる。

PCR検査の感度は70%、490人の感染者のうち343人は陽性。一方、147人は陽性にはならない。この人たちは感染しているのに検査結果は陰性になる。
しかし、48万9,510人の感染していない人も全員が検査を受けている。PCR検査の特異度は99%だから、このうち1%(つまり4,895人)は病気でないにも関わらず陽性と診断されてしまう、ということになる。
49万人の検査を実施して、結果が陽性になるのは、実際に感染している490人のうちの343人(感度70%)と、感染していない48万9,510 人のうちの4,895人(特異度99%)の合わせて5,238人。しかし、この中で実際に感染していたのは343人である。検査結果が陽性になった人のうち、わずか6.5%しか本当の感染者がいない、ということになる。
つまり、市川市では、343人の感染者に加えて、実際にはコロナに感染していない4,895人も病院やホテルに2週間は隔離されることになる。場合によってはアビガンなどの副作用の強い薬が投与されるかもしれないし、その家族も濃厚接触者とされ自己隔離、職場の人や友人たちも不安な思いをしなければならないでしょう。そして自治体や国は、この4,895人分の隔離にかかる費用を負担しなければならない。
※もし、特異度を99.9%まで高めることができたとしても、非感染者のうち0.1%の489人(0.1%の誤差)は陽性と診断される。実際に感染していて陽性になる人が343人ですから非感染者の陽性率のほうが高くなってしまうのだ。

検査結果が陽性と出た人の実に90%以上が、実際には新型コロナに感染していないのにも関わらず隔離(入院や外出禁止)を強制され、その家族も濃厚接触者として扱われる。
一方、新型コロナに感染しているにも関わらず、検査結果が陰性に出た30%の人たちは、きっと安心して行動制限を緩め、結果として感染を拡大させてしまう。
さらに、大規模な検査を実施することで、迅速に検査しなければならない人の検査がなかなかできないということにもなりかねない。しかも、PCR検査はその時点での感染状態を調べるもの。今の状態はある程度わかるにしても、過去にどうであったのか、これからどうなるのかは全くわからないのだ。もし「感染していないことを確認したい」という安心感のために検査をするのであれば、定期的に再検査を続けなければならないし、そんなことをすれば、感染していないのに隔離されるケースが増えるばかりである。
 そして、なによりも危険なのは、現在(H31.3.31)市川市内の病院数は13施設で病床数は3,132床、同じく診療所は314施設で125床。合計で3,257床しかない。もともと入院している患者さんの数を考えれば5,000人近い人を受け入れられる余裕などは到底なくまた医療スタッフ、医療器具の数も物理的に完全に不足することになる。つまり、またたく間に医療崩壊が起きてしまうということだ。

有病率が10%(医師の判断)という前提で、先ほどと同様に計算をし直してみる。
医師が必要と判断した1万人に検査を実施する場合、有病率は10%なので実際に感染している人は1000人、感染していない人が9000人となる。
PCR検査の感度は70%、感染している1000人のうち、陽性になる人が700人、陰性になってしまう人が300人。
一方、特異度は99%、感染していない9000人のうち、99%は陰性と診断され、1%(90人)は感染していないにも関わらず陽性になる。
この検査で陽性と診断される人は、実際に感染している700人と感染していない90人、あわせて790人。うち、実際に感染しているのは700人なので、陽性と診断された人のうち、88.6%が実際の感染者ということになる。

一般市民を対象に無作為に検査をすれば、陽性者のうち感染者の割合は6.5%となり、9割以上が感染者と誤診されてしまう。
しかし、医師が選別してから検査を実施すれば、陽性者のなかの感染者の割合は88.6%となり、非感染者を、感染者として誤診する確率は大幅に減ることになる。
上記のような試算から陽性適中率(今回の例でいえば6.5%⇒88.6%)は検査前確率(つまり有病率)が高ければ高いほど、高くなるということがわかる。
ドライブスルーでやみくもに検査をするよりも、まずは医師に相談をしてから、と言われるのは、このような科学的な理由が根拠となっている。