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タイヤがパンクする危険

現パナソニック創業者の松下幸之助さんは社員訓話の中で、「問題をどのように処理するかということよりも問題が起きないように心掛けることだ」との言葉を残している。言われてみれば全くその通りで我が身にとっては耳の痛いことだ。

先日市川の大御所K氏とお会いした際に地域活性化の話題になった。すでに表舞台から引退したK氏だがいまだマスコミや各界からの来客が後をたたず多いときは一日に20人くらいが入れ替わり立ち替わりで訪れることもあるという。氏が言うには、やはり地域再生、活性化には地元商店街が元気になること大前提だと力説する。再開発の名のもとに商店街を壊しハイテク高層ビルをつくる、傍目にはそれは綺麗で街が生まれ変わったように映るであろう。テナントには誰もが知っている量販店が相次いで入り込み集客を狙うがその一方で元々あった地元商店は何処かに追いやられ事業の継続どころかほとんど廃業せざるを得ないのが再開発における事実のひとつだ。この地域活性化の問題を語る前にいま日本全土を覆っている事実に少しふれてみたい。
①歴史的にも類をみない早さで少子高齢化がすすんでいる。
②20年後75才以上(後期高齢者)のお年寄りは今の1.6倍になる。
③労働人口が減り続けるため税収が増えない。
④社会保障費は毎年1兆2500億円づつ増えていく。

社会を機能させる要素に産業の発達や技術開発、テクノロジーの進歩そして法整備などがあげられるが、人口の増減はそれらを促進させるためには必要不可欠のものである。例えてみれば車両を動かすために運転手がいてエンジンがあるように社会という車両を動かすための下支えとなる車輪が基礎人口といえる。車両をしっかりと動かし目的地に移動させるためには途中でバーストしたりパンクしたり外れたりしないような丈夫なタイヤが必要だ。少子高齢化に伴う生産者の減少や収入不足を技術やテクノロジーで補完できればそれにこしたことはない、だがもしそれができなければ年々細くなるタイヤは破裂し載せている荷物を無惨にも道路にぶちまけることになる。松下幸之助翁がいう「問題」はすでに起きており数十年も前から待ったなしの大問題に発展していまうことは予測されていた。地域の活性化、再生に向けてこの確実にやってくるこの事実をしっかりと直視し問題から目を背ける時間は我々にはもはや残されていない。