高級品売上好調に見えるもの

ポルシェやロールスロイス、フェラーリなど1000万円を超える超高級車や50万円以上の腕時計などの売れ行きが好調のようだ。株価も昨年の衆院選当時日経平均8000円台後半だったものが一年もたたないうちに1万5000円台を回復してきている。また直近7-9月期の消費者動向指数も大幅に改善されてきており本格的な景気回復の兆しであると経産省も語っている。景気動向というのは、例えばその年の世相を表す年末の今年の漢字とかサラリーマン、OL川柳とか創作四字熟語とかのようにその指標になるものはいくつも存在する。まず確定しているものからあげれば来年の4月には消費税は現行の5%から3%上がり8%となる。現在可処分所得が減り続けている中で3%も日常消費が上昇するということは実質5%ほどの実勢かい離が顕在化することになる。となれば当然消費者の購買意欲は後退するだろうから事前に何らかの”調整”が必要になる。そこで景気動向の一つの指標である株価(日経平均)を”調整”することになる。昔も今もあまり変わらないが日本の株式市場の約67%は外国人投資家と呼ばれる人たちのお金が流れている。ここでいう投資家とは巨大保険会社などのいわゆる機関投資家のことであり国際金融資本とも言われその運用額は1000億から数兆円になる法人格のことをさす。現在日経平均が上がり続けている理由の一つはその機関投資家の数兆円規模のお金が出るより入ってくる割合のほうが多いからであり逆に言えばそのお金が国外に流出しはじめたら残り33%(流動資金はこのうちの10%程度)の国内の余力では到底太刀打ちできない、ましてや一般庶民がいまチャンスとばかりになけなし退職金や老後の資金を投資すると大火傷を負うこともある。その投資の矛先が原油市場や先物、海外マーケットに移る可能性はいくらでもあるのだ。これを景気回復と位置付けるのは極めて尚早だろう。さらに株価指数だけでなく物価動向も誘導する必要がある。それが俗にいうインフレターゲットだ。現在緩やかな上昇傾向にありその理由は長引く円安によるものだと説明されるが対ドル100円前後では円安とは言えない。90年代後半から08年までは120-110円で推移しているが物価は上昇せずむしろデフレ傾向の要因になってしまった。今物価が上がっているのは国家の政策として人為的に”調整”されているといっていいだろう。また識者の中には景気刺激策として外需を拡大せよという方々もいるようだが実際の外需は日本のGDP対外比率1%で約4.1兆円ほどしかない。したがって日本経済の基盤は外需依存ではなく明らかに内需によるものだといえる。その点からいえばいまさら指摘するまでもないがTPPに参加する意義はかなり不明であるといってもよく、まあ正確には参加させられているのだけれども、ビジネスの傾向を外国人(米人と言ってもよい)の好みに合わせる必要は全くなくむしろ日本国内に対しより深く考察、研究したほうがよい。それこそが国内の経済インフラを整える基本的な考え方だ。景気が回復するのは大いに結構なことで歓迎するところだがその政策を預かる人たちの発言動静に注視するとともに事の真偽を見極める眼力を養うことが我々国民に求められている。

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