偽装とウソ

ハロウィーンもいつの間にかクリスマスに模様替えされ街もいよいよ年末に向けてラストスパートという雰囲気になって参りました。日本ではクリスマスの装飾を色とりどりの電飾で飾る傾向にありますがヨーロッパではオレンジ色っぽい電飾が多いようです。10年前フランスのド・ゴール空港着陸前に上空からみたオレンジ色に暖かく揺らめくパリの街の灯がとても美しく印象的だったのをおぼえてます。

街が美しく賑かに活気づくのは多いに結構なことだがいまお茶の間を賑わせているのは専ら飲食関係の「偽装」問題が不名誉なその主役の座についている。報道を聞いていると記者が当該企業役員に向かって、では表示はウソだったんですね。などと質問、確認する場面が見受けられるが「偽装」と「ウソ」は根本的に全く異質のものである。

まず「ウソ」とは漢字で「口」に「虚」と書く。つまり読んで字のごとしクチに虚しい、虚しいクチとなるわけだ。だがこの「ウソ」はどちらかと言えばウソをつくつもりはなかったのだが結果的に「ウソ」になってしまった場合が少なくない。例えば、父親が子供に今度の休みどこかに遊びに行こうと約束しておきながら仕事が入り結果「ウソ」をついてしまった。という経験は誰でもひとつやふたつはおありだろう。つまり「ウソ」たとは意図的なものもあればそうではない悲しいかな時と場合に左右されてしまうことも少なくないようだ。そういう方々の救済策として「嘘も方便」とか「エイプリルフール」などのコミカルな風習ができたと考えれば頷ける話だ。

さて片や「偽装」だが、経歴を偽れば「経歴詐称」、ウソの証言をすれば「偽証罪」に問われる。これもまた漢字で書けば「人」に「為」、つまり人為的に何かを「為す」、「装う」ということだ。最初から故意によるという意味では先に述べた「ウソ」とは似て非なること明らかであり下手すれば刑法に抵触する可能性もあり残念ながら「ウソ」のエイプリルフールのように救済策を入り込ませる余地はない。年末に来て「偽証」問題が世間を賑わし食品業界は戦々恐々だが今年の漢字が「偽」とならないことを心より願う。

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