食品偽装まとめ

半年前まで約10年飲食店を経営していたせいかいまだ冷めやらぬ食品業界の「偽装」問題が気になるので少しその背景について考えてみたい。ときたま見かけるテレビの企画でタレントに目隠しをして高価な食材とそうでない食材を同じ調理方法で提供し食べさせどちらが高価な方か当てさせ、外れるとランクがひとつひとつ下がってゆく人気番組がある。この手の番組が受ける理由には有名人=一流の人という視聴者側の勝手な思い込みが背景として存在する。視聴者が思い込んでいる一流の人たちが陳腐な回答をするそのギャップに笑いが入り込む隙間ができるからだ。まさに我々視聴者側の思い込みを逆手にとった番組だ。

少し父の話をする。父は15才で群馬の富岡の奥(群馬サファリパーク近く)から集団就職で東京に出てきて鴬谷の北八という肉屋に小僧として就職した、以来約60年肉屋一筋のひとだ。父が結婚する前昭和35年頃にはすでに「成形肉」という食肉の加工方法が存在した。細かく刻んだ肉に脂を注入し分厚い切り身に形を整えることにより柔らかくなり量も増えるというわけだ。これが飛ぶように売れそして文句を言う人は誰もいなかった。それは当時まだ牛肉ましてやステーキなど一般の人にはまだまだ手の届かなかったものを気軽に食べれるというありがたみが優先し豊かになったという満足感が心を支配していたからだ。この現象は何も食品業界だけではない。古き良きはずの「三丁目の夕日」時代(昭和33年)の殺人事件数は2700件以上あり現在の3倍近くで現在よりもはるかに凶暴な時代だった。また昔から「名所に景勝なし」というようにいざ行ってみたら何てことはないという経験はどなたも経験がおありだろう。使ったお金と時間を考えれば尚更文句もいいたくなるのが人情だ。ここにも「名所=素敵な場所」という勝手な思い込みが存在する。少し食品業界っぽくまとめてみれば、我々が日常口にする食事と同時にそこに添付されいる言葉も無意識に一緒に飲み込んでいるのだ。その結果自分の思い込みを作り上げ事実と食い違った場合に相手に対して攻撃を始めるわけだ。そういう意味では一連の「偽装」問題は企業側が主犯で視聴者側がその共犯者となり造り出してしまった問題と言える。氾濫している言葉の意味をしっかりと咀嚼し消化することが我々受け手側に求められている。

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