特定秘密保護法案の位置付け

12月初旬に成立した「特定秘密保護法案」がどのような流れのなかでどうして強行採決までして可決しなければならなかったのか端的にまとめてみたいと思います。

少し前に国家安全保障会議(日本版NSC)が総理主導のもと設置されることが決定した。総理をはじめ防衛大臣、外務大臣、官房長官、公安のトップなどが国家の安全に関して頻繁に集いその方向性を決める会議のことだ。当然のことながら当会議にて行き交う情報は同盟国と共有する軍事機密など国内のみならず国際間においても最重要機密であることは言うまでもない。ところが日本にはその共有する情報が外部に漏洩しないという法的根拠がなかったため国際社会では窓際扱いされつつあることは先日ふれた。そのため対外的に情報を漏洩しない国家なのだという担保を設ける必要があった。それが特定秘密保護法案のひとつの側面だ。
ただ一方では国民の「知る権利」が脅かされることは尊重されないのか、という意見も出てくるだろう。いきなり戦前に戻ったり戦争が始まったりすることはないだろうが、ここで敢えて言いたいのは、ではその「知る権利」を我々はどこまで日常行使しているだろうか。例えば「投票する権利」を権利として我々はしっかりと社会の一員としてその権利を行使しているだろうか。「権利」については今ここで論じる予定ではないので割愛させていただくがおおいに議論の余地を残すところだ。
これで概略だが日本版NSC(以下NSC)と特定秘密保護法案(以下特定秘密~)との関係がわかった。ではなぜ特定秘密~は議論も不充分なまま強行採決する必要があったのか。それは年明け早々に妥結を控えるTPPに深く関係してくる。TPPとはご存じの通り「環太平洋経済協定」のことだがここで明確に区別しなければならないことは特定秘密~は立法府である国会の承認が必要なのに対しTPPは「~協定」であり国会の承認は必要としないことである。つまりTPPに盛り込まれる内容が特定秘密と解釈されれば国会の承認を得ることなしに協定の内容に加えられることを法的に担保することができるからである。
これは戦後の日米行政協定に対する旧日米安保条約及び60年代の日米地位協定に対する新日米安保条約との相互関係と全く同じだ。
新幹線を通すためにはその用地買収が必要なように国益のためにその仕組みを優先するというのは当然のことだ。先日友人が言っていた、「TPP参加により東アジアに戦略的経済圏ができあがる。そしてその経済圏は対中政策としても機能させることができる」と。
TPPについては「非関税障壁撤廃」、「ISD条項」など不安材料はあるものの国益にかなうことであればおおいに支持したいところであるしそのためにも最低限必要な情報は政府のみなさまと共有したいと切に願う。

☆以上はほそだ伸一の私的見解であり日本政府の公式見解とは一切関係ありません。

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