今日成人式を迎える方々は全国で凡そ122万人、千葉県では59,900人、市川市では約4000人の方々が新たな門出を迎える。奈良時代の儀礼である元服、裳着など昔の成人式にあたるわけだが当時16才で成人つまり立派な大人とみなされることを考えれば今日の20才はまだまだ幼いといえる。
世の中が成人式で華やぐのは歓迎するところだが小生もまたひとつ年を取ることを思うと何ともため息が出る。特に嘆かわしいのは年齢以上に実感する体力の衰えだ。以前のような運動は無理にしても極力車は避け自転車や歩くことを意識し体力維持を心がけている。
ここで健康について考えてみたい。小生の父は四年前に心臓を煩い10時間の手術の後九死に一生を得た。動脈の数ヶ所に硬化が見られ血液が循環しなくなるいわゆる動脈硬化という典型的な循環器系の病気だ。
当家の家業は肉屋で夜遅くまで仕事をする。まぁ自営業、商売人の家はどこでもそうであるように帰ってきてはすぐ飯を空きっ腹にかっ込んで横になっている内に寝てしまう。つまり空腹→早飯→疲労→睡眠という上昇した血糖値とコレステロールが血管にたまりやすい体内環境を30年以上続けていたのだ。
それでは病気になるわけだと言いたいところだが、祖父喜太郎さんの例を見てみる。父がタバコも酒もほとんどやらないのに対し祖父はタバコも酒も人の数倍はやってきた人だ。さらに戦時中の後半はビルマで過ごし戦後は疎開先で食べ物もろくにない期間を数年間過ごす。78才までバイクを乗り回し89才で亡くなった。最後の3年ほどはタバコも酒も止められていたが大往生であることは間違いない。
父は現在76才でおかげさまで日常生活は問題なく過ごしているが人によっては50代60代で命を落とす方も少なくないのが脳卒中、心臓病などの循環器系疾患の怖いところだ。この疾患にある程度共通しているのが基本的に運動不足で脂っぽく濃い味付けの食事を好む傾向にあることだ。
一方祖父のような飲んで吸う長生きタイプに共通しているのが適度な運動(労働)と食べ物を口にできない経験、そしてそのような経験から生まれる食べ物(酒、タバコを含む)への感謝の気持ちを無意識に持っているということがあげられる。やはり食べられない状態が長く続くと栄養が不十分でも何とか頑張ろうと細胞が強く発達しようとする。恰もそれは植物に水をあげすぎると逆に細胞を死滅させてしまうのと同じ論理だ。それは何も栄養と細胞の関係だけではない。何でもかんでも与えられなに不自由なく生活できる現代の環境は我々から思考力を取り除き精神面を弱体化させ何より感謝する気持ちを奪っている。
健康維持に日常の食生活は言うまでもなく大切なことだが口にできるもの(例えそれがタバコや酒などでも)に感謝しありがたみを感じることが細胞を強くし豊かに生きるまさしく「食育」の基本的な考え方ではないかとつくづく思うのである。
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