道徳教育について

道徳教育について

平成30年、31年からそれぞれ小学校、中学校で「特別の教科 道徳」が全面実施となります。つまりこれまでの学校教育の国語、算数、理科、社会、英語のなかに新しい評価の対象科目として「道徳」が入ってくるわけです。国内においては、第二次世界大戦前には「修身」として重要教科に位置付けられていましたが、戦後、GHQにより国史、地理と並んで、修身が軍国主義教育とみなされ、授業科目として実施することはできなくなってしまいましたが昭和33年より小・中学校の教育課程の一領域として「道徳の時間」が復活しました。そもそも「道徳教育」の目標は、「自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養う」ことです。別の言い方をすれば、体育を含めた通常の教科以外のものはすべて含まれる領域と言えます。そういう意味では、精神的にも身体的にも発達する青少年にとっては極めて重要な科目と言えるでしょう。今回「特別の教科 道徳」の教科化にはまた別の重要な背景があります。それは昨今社会問題ともなっている「いじめ」問題です。いじめられた子供は、学校に通えなくなったり、心身の発達に重大な支障を生じたり、尊い命が絶たれるという痛ましい事案も発生しています。「いじめのつもりはなかった」、「みんなもしていたから」ではすみません。いじめられている子供を見ていただけの周囲の子供も、後悔にさいなまれます。子供たちを、いじめの加害者にも、被害者にも、傍観者にもしないために、「いじめは許されない」ことを道徳教育の中でしっかりと学べるようにする必要があります。
私はこの「道徳」の教科化には大いに賛成です。しかしながら、数字で表すことが困難な人間の内面の評価を、別の人間が採点することには少々本質的な難しさがあるため、道徳の評価は必ずしもその生徒本人の道徳性を表すものではないと考えます。この「教科」と「採点」の整合性が今後の課題ではないでしょうか。

市川市におけるいじめの認知件数 市内39の小学校では679件、16の中学校では140件となっております。
「平成27年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より。

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