鼻づまりからの教訓

 久しぶりの快適な目覚めだった。というのもここ2週間以上にわたって、花粉症による鼻づまりらしいのだがずっと鼻水が止まらず、夜寝る頃になると鼻の穴は完全にふさがってしまい鼻からの呼吸は全くできなくなっていたからだ。何度も鼻をかんでも、ぬるま湯を鼻の奥まで吸い込んで手鼻をかもうと、鼻の下となかにメンソレータムを塗り込もうと鼻づまりは解消するどころかたちどころに塞がってしまい、けっきょく口をポカーンと開けながら布団にもぐることになり、口内がかぴかぴに乾き1時間ごとに目が覚める。これをだいたい夜中の4時過ぎくらいまで繰り返すので睡眠の質は極めて悪いものとなる。風邪をひいたりしたときには鼻がつまり眠れない夜を過ごしたことのある人は多いのではないかと思うし、私自身も年に1,2度は鼻づまりに見舞われる。といってもせいぜい2,3日くらいのことなので、今回の2週間以上の鼻づまりには正直まいった。鼻づまりに苦しむある日の夜中ふと思った。どうして鼻づまりがおこるのか?私(人)の鼻の中はいったいどういう構造になっているのだろうかと、鼻の構造がわかれば対処の方法があると考えたのだ。お恥ずかしい話だが、これほど身近な一生涯付き合う人体の、しかもたった5分間機能しなければ生命にかかわってしまうほど重要な、自分の相棒である鼻の仕組みについて私はなにも知らなかった。なにしろ鼻の穴はそのまま直線的に鼻の中奥まで通じていると考えていたくらいなのだ。そこで少し調べてみた。
 鼻の穴から吸い込んだ空気は、その奥の3カ所ほどある鼻甲介という突起物をらせん状に回りながら奥へと吸い込まれていく。そして、鼻づまりは鼻水でつまるのではなく、鼻の奥の空洞である鼻腔内の粘膜が、アレルギーや細菌性のものに反応することで腫れ、その結果、空気の通り道が狭くなってしまうため空気を吸い込みづらくなってしまう生理現象だということがわかった。どうやら鼻の中は私が思うほど単純な構造ではないらしい。たしかに、眠りにつくときに、鼻の外皮を押したり横に引っ張ったり広げたりして内部の形状に少し変化を持たせることで、一時的に空気が通ることがある。つまり、外部から内部の構造に刺激を与えることで、ほんの少しの隙間を鼻の内部につくることができるのだ。ちょうどそんなとき友人から、衛生医療品の鼻腔拡張テープを使ってみたらとアドバイスをいただいた。鼻の表面に薄いプラスチック状のものを張って、その張力で鼻を外側から引っ張り、鼻腔内に空気の軌道を確保する2㎝幅ほどの細いテープだ。以前からそのテープの存在は知っていたが、私は汗っかきだし、テープなんか鼻に張ったところでたいして効果なんて得られないと考えていた。しかし、もう何日も口呼吸だけで夜を過ごし、不十分な睡眠のまま朝を向かえ、昼過ぎごろには睡魔に襲われるというストレスフルな日々を過ごしている私は、藁にもすがる思いで友人の助言に従い、その魔法のテープを鼻に張って寝ることにした。すると不思議、眠りについてから数分で鼻からの呼吸ができてる。鼻から普通に呼吸ができることが、こんなにも楽で嬉しく気持ちのいいことだと初めて知った私は、肺の中一杯に鼻から空気を吸い込んだ。久しぶりの鼻呼吸を何度か繰り返しながら、ああ、人の言うことには耳を傾けてみるもんだなぁとつくづく思った。これからは、食わず嫌いをなくし、未知のものを否定的にとらえず、まずは聞く耳を持って肯定的にとらえていきたいと思う。私を鼻づまりによる睡眠障害から救ってくれた友人には誠に感謝である。

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