クリーンセンターにみる「足るを知る」生活

今回の市川市長選挙において各候補者それぞれにいろんな政策を打ち出していたのは周知のとおりですが、個人的に気になったのは、もうすぐ寿命を迎える市川市の焼却施設(クリーンセンタ―)についてどなたも触れていなかったことです。市川市田尻にある現クリーンセンターは、施設の老朽化に伴い、安定的な廃棄物処理の継続のため、平成27年に施設整備基本計画を策定し、今年度と来年度で事業者を選定、平成32年度から実施設計に入り、32年度後半から35年度にかけて建設工事と試運転が開始され36年度から供用開始となります。
 私が気になるのは、次期クリーンセンターの規模のことです。処理能力といってもいいかもしれません。現クリーンセンターは、その規模として、600t/日、不燃粗大ごみは75t/5hの処理能力。対して次期クリーンセンターは396t/日,21t/5h となっており現行の70%弱と低めの設計となっています。この施設規模の算出根拠は、ごみ処理施設整備の計画・設計要領を参考にしており以下の式で表せます。
焼却施設規模=計画年間日平均処理量÷実稼働率÷調整稼働率

本市の目標年度におけるゴミ焼却処理施設での計画年間処理量は、96,000t/年÷365日=263t/日、保守点検や祝祭日85日を引いた実稼働率が、280÷365≒0.767。そして故障、やむを得ない一時停止等のために処理能力が低下することを考慮した係数である調整稼働率が96%。これを上の算出式に当てはめると、
施設規模=263.01t/日÷(280÷365)÷96%=357.14t/日≒357t/日
 
 これに災害廃棄物の処理量を見込んだ数値(約39t/日)を加えたものが自治体におけるごみ処理施設の規模となるわけです。
 
 いま日本は超高齢社会を迎え全国的に人口減の時代に入っております。我々の住むこの市川市も例外ではありませんが、すぐ隣には一極集中が進む大都市東京があり、都内よりは比較的家賃も安いし、通勤通学に便利で、また住環境も良いということからここ数年本市の人口は増えてきております。確かに、市民一人ひとりの努力によって、一日当たりのごみの量は減りつつあるものの、小さいお子さんや子育て世代のご家庭ではごみの減量を気にしてはいてもなかなか減らせるものではないでしょう。近隣自治体と比較しても、船橋市は、2施設6炉720t/日、松戸市2施設5炉500t/日、柏市2施設5炉550t/日で、市川市は1施設3炉396t/日と、近隣他市と比べても、施設数・炉数ともに低めの設定となっております。今回策定されたごみ処理施設の基本構想は、ここ数年減少傾向にあるごみの排出量のデータを参考にもしています。しかし一方で、市川市は、もっと多くの人に市川市を訪れてもらおう、市川市に住んでもらおうという政策をとっています。日々の生活ごみの量はそこに住まう人の数に大方比例するわけですから、そう簡単にごみが減るとは思えません。
 本市のように、400t/日規模の焼却施設の建設費は約289億円。国からの補助金が使えるとはいえかなり大規模なインフラ投資になります。一度建ててやっぱり足らないからもう一ヶ所増設するというのもなかなかできないし、それ以上にまず市民の理解を得ることは難しいでしょう。ごみ処理が間に合わず町中がごみで溢れかえるなんてことは世界各地で起きておりけっして他人事ではありません。しっかりとした施設をつくることももちろん大切なことですが、それはあくまでも自治体が行う公助の部分であり本質的な事の解決にはなりません。「足るを知る」という先人たちの生活訓を今一度思い返し、一世帯あたり一日10gのごみを減らすというような自助努力を我々一人ひとりがまずは実践していく必要があるのではないか。そんなことをこの連休中に考えてみました。

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